上野学園石橋メモリアルホール棟

1974年に創立70年を記念して石橋メモリアルホールが誕生する。オルガンを設置したこのホールは、低音域の豊かな響きと中高音域の輝かしい響きによって、当時、東京では数少ない中規模コンサートホールとして注目された。1階の新石橋メモリアルホールは浮き構造の「ボックス・イン・ボックス」で、高層部の躯体とは絶縁され、近接する地下鉄からの振動問題も払拭された。旧ホールの室形状は大きく傾斜した山形の天井が特徴的で、この傾斜天井によって舞台上で発せられた音が客席へ豊富に到達していたことがコンピュータ・シュミレーション上でも確認でき、旧ホールの豊かな響きを特徴づけていた。また、舞台から客席前方へと徐々に広がる折れ壁形状のコンクリートの側壁も低音をしっかりと反射し、豊かな響きの実現につながっていたと考えられた。これらの旧ホールの特徴を継承するため、新ホールでも傾斜天井を採用した。また、側壁の構成材料としてPC板を採用することで、旧ホール同様に豊かな低音の響きが得られるよう意図した。

    所在地 [LOCATION]
    東京都台東区
    設計監理 [DESIGNER‘S SUPERVISION]
    現代建築研究所
    敷地面積 [LAND SIZE]
    2,405.28㎡
    工期 [CONSTRUCTION RERIOD]
    2008年6月-2010年2月
    階数 [RANK]
    地下2階・地上13階
    延床面積 [TOTAL FLOOR AREA]
    15,930.66㎡
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